「学問より実行」に感動 日本大学法学部特任教授 諸坂成利さんからのメッセージ


ドキュメンタリー映画『新渡戸の夢』は、すべての日本人に観てもらいたい感動的な名作である。そこには偉人・新渡戸稲造の精神が見事に反映されている。

映画で紹介されている新渡戸の言葉に、

“Haste not, rest not.”(急ぐなかれ、休むなかれ)

があり、これは本居宣長『うひ山ぶみ』の「倦まずおこたらずして、はげみととむる」と同じことである。現代人はこれを忘れていないだろうか。現代人は、何でも「早くわかりたい」。そして「急ぐ」のである。スマホ、コンピュータ、ワープロなど、そういった便利なものが、現代人を急がせ、重要な、本質的なことを忘れさせている。その端的な例が、手書きで「字が書けない」ことであろう。現代人は多くの文字を忘れてしまった。すべてコンピュータまかせである。これから人工知能が浸透すれば、自ら考えることもできなくなるに違いない。

映画『新渡戸の夢』で描かれる世界は、真の学びの世界である。そこでは誰も「急いでいない」。そしてしっかりと学んでいる。私はこれこそが、国力の基礎であり、学ぶ喜び、教育の真の姿であり、《強さ》であり、武士道の精神につながるものがあると見た。

最近の学生を見ていると、口先では立派なことを言い、「単位」だけは欲しがるような、地に足のついた学びをしていない者を多く見かける。それは《弱さ》である。

最近、中国人によるTOEIC不正受験のニュースが流れたが、これも学ばずして高スコアだけを欲しがる人々の犯罪であるが、別の見方をすれば、学びを見ずに、目に見える評価だけで判断する世間にも責任はあるだろう。

映画の最後で述べられたメッセージは重要である。

「学問より実行」――議論や話し合いをするのは簡単で、学者のすることであり、学者は今、一番簡単なことをやっている。重要なことは、実行すること、体を動かすことであり、これこそがむずかしい。

この映画をきっかけに、今こそ《世》が動くべき時だ、と感じた。

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