2023/6/18 新渡戸の夢 撮影進む(野澤和之 札幌にて)

 札幌の春は美しい。ライラックやすずらんと新緑の森を撮影してきた。6月、天気には、あまり恵まれなかったが、撮影チャンスは逃さなかった。
新渡戸が札幌農学校時代に歩いたであろう自然を捜しながら、撮りながら、追体験したというのが実際のところだろう。特に豊平川。この川のすぐ傍に、遠友夜学校の校舎があった。新渡戸は、数えきれないくらいこの川のほとりを歩いたことだろう。
 1894年に開校した遠友夜学校は、1944年に閉校した。現在、その跡地は、新渡戸稲造記念公園となっている。校舎があったろう跡地に佇んでみた。50年の歴史をどのくらい感じることができただろうか?遠友夜学校に通った生き証人が、ひとりもいない今、その面影をどう表現していけばよいのか?撮影がはじまったばかりで、考えると苦しい事ばかりが浮かぶ。
 重苦しい心境で、豊平川の縁にやってくる。水がきれいだ。雪が溶けて、元気な水がぐんぐんと流れ来る。時より、太陽の反射で輝く。そんな時、新渡戸の夢を再考する喜びのような気持ちがやってくる。ひよっとして、この同じ場所に、10代、20代の新渡戸稲造が佇んでいたのかもしれない。ぶるっと震えた。まだ、少し肌寒い、札幌で、明日も撮影が続く。

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